第35章 崖の縁

平川一仁は水原空の忠告をまったく気にしていなかった。天才ギャンブラーが一度失敗するのは当然のことだと思っていたのだ。

これまでも天才ギャンブラーが失敗したことはあった。たまに一度や二度賭けを外すことで、誰かに不正だと言われないようにしていたし、むしろ単に運がいいだけだと思わせることもできた。

水原空は眉をひそめた。この平川一仁は明らかにのめり込んでいる。

今、平川一仁に手を引かせたとしても、おそらく後でまた来てしまい、その時はもっとひどい負け方をするだろう。

仕方なく、水原空はもう一度黙り込み、高田進が新しいディーラーとギャンブルの勝負をするのを見守るしかなかった。しかし、その後の勝...

ログインして続きを読む