第6章
将臣視点
俺は床から天井まである窓のそばに立ち、街の灯りが滲んでいくのを眺めていた。ルーフトップバーを埋め尽くす三百人の招待客。シャンパンタワー。生バンドの演奏。後は切られるのを待つだけのバースデーケーキ。
だが、彼女はいない。
手の中のスマートフォンが重く感じる。もう一度、番号をダイヤルする。自動音声が響く。「おかけになった電話は、現在お使いになられておりません」
この一時間で十五回目の不在着信。
亮介が歩み寄り、咳払いをした。「社長、ケーキの準備が。皆様お待ちかねです」
「あと数分待て。来ると言っていた」
彼はためらう。「あの、どこかで足止めされているのかも...
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