第173章 好敵手に出会う

神野孝峰は神野若帆の頭をぽんぽんと撫で、適当に嘘をついた。

「パパも歳だし、もう囲碁で無理はできないんだ。だから希望はお前たちに託すしかないんだよ!」

――実のところ、自分の棋力は息子の神野唯臣に及ばない。たとえ門弟が中へ通してくれたとしても、恥ずかしくて足を踏み入れられない。

そんな情けない話、子どもたちに言えるわけがなかった。言ってしまえば、今後どうやって威厳を保てというのか。

神野唯臣と神野若奈は、察していた。

けれど神野若帆だけは飲み込めない。

「歳って……パパ、まだ四十代でしょ? なんで……」

「いいから、かほ。もう遅い。早く上がるぞ」

神野唯臣は聞き分けのない末妹...

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