第19章 芳賀奥様との偶然の出会い

立田あきは本当なら声を上げて言い返すつもりだった。けれど、あの態度を見た瞬間、もう好きにさせておこうと思ってしまう。

店員は「ふん」と鼻を鳴らし、勝ち誇ったように去っていった。

神野若帆と神野若奈は気まずさを覚えながらも、どこか他人事の顔を作る。――まあ、見世物でも見ているつもりでいればいい。

その店員は、噂に聞くブラックカードを見たことがなかった。普通のキャッシュカードか何かだと思い込み、上機嫌でレジへ向かうと、端末にカードを通した。

「ピッ」

乾いた音と同時に、決済完了。

店員は固まった。機械の不具合だと思い、端末を持ち上げて何度も確認する。

「……おかしくない、よね」

独...

ログインして続きを読む