第21章 虹さんを訪ねる

神野若芽はそのままエレベーターに乗り、最上階――虹さんのオフィスへ直行した。

虹さんの本名は半田虹。いまや川市の商界でその名を知らぬ者はいない。誰かが「半田虹」と口にすれば、真っ先に彼女の顔が浮かぶ――そんな存在だ。

若芽がノックしたとき、半田虹は書類に目を通していた。

「どうぞ」

低く落ち着いた声。重厚な赤いマホガニーの扉が押し開かれる気配に、虹は顔を上げ――そして、ぱっと目を見開いた。

「……久しぶりね。こっちに来るなんて」

声の端々に、甘やかすような慈しみが滲む。

「うん。最近、学校で忙しくて」

若芽は淡く笑って答えた。こうして肩の力を抜いた表情を見せるのは、心を許した...

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