第237章 彼女はまた勝った

スキャンダル――それこそが一番恐ろしい。神野家はこれまで、世間を揺るがすような大スキャンダルなど一度も出していないのだから。

神野家にある「代表的な不名誉」といえば、せいぜい一つ。

『神野家のお嬢様・神野若芽は役立たず』

そんな噂が広まったくらいだ。

そして若奈は、その「不名誉」が自分に降りかかるのだけは絶対に嫌だった。

もし本当にそんなことになれば――神野若奈が築き上げてきた『聖母』のイメージは、音を立てて崩れる。

何度か頭の中で損得を弾いた末、若奈は若帆の腕を掴み、低い声で諭した。

「行こう、かほ。もうやめて。入れないなら、それでいい」

「ふんっ! もう二度と耀宿レストラ...

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