第28章 面白い

「じゃあ、追加しといた。明細が出たら私に送って。用がないなら、先に行くね」

本当は空港へ迎えに行くつもりだった神野若芽は、まさかこんな騒ぎに巻き込まれるとは思っていなかった。

たぶん今ごろ、江口岩司は空港で怒りが爆発寸前だ。

「……なあ。車、まだ走れるのか? 送ろうか」

権田真鳥の声には、耳に残る独特の低い艶があった。聞いてしまうと、もう少し聞きたくなる類の声だ。

青木啓の顔は、言葉にしづらいほど引きつっていた。目を見開き、まるで幽霊でも見たみたいに固まっている。

自分の耳で聞かなければ、絶対に信じなかっただろう。――兄貴、あのお嬢ちゃんに目をつけたな。

でなきゃ、こんなふうに...

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