第54章 雇い主は権田真鳥?

神野若芽の演奏は、とても「習い始めたばかり」とは思えなかった。指づかいも、リズムも、非の打ちどころがない。

聴けば聴くほど、宇野月の顔色が悪くなる。――ありえない。

もう、これはプロの域だ。

たとえ詳しくなくても、あの美しい旋律はあっという間に聴衆を引き込んでいく。

それに、大勢の前での演奏だ。ここで不正なんて、やりようがない。

じゃあ、本当に神野若芽が――ここまで凄いっていうの?

宇野月は信じられないものを見るように、ステージを睨みつけた。

須藤リリも呆然としていた。まさか神野若芽が、ここまで弾けるなんて。反射的に宇野月へ視線をやると、相手の表情はまるで絵の具をぶちまけたみた...

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