第68章 原石賭け

もともと神野若奈に、神野若芽へ服を渡す気なんてなかった。こんなことをしたのも、ただ自分の憂さ晴らしのため――ついでに、仕返しのつもりでわざと若芽を辱めたかっただけ。

神野若芽が不愉快になればなるほど、若奈は気分がよくなる。

……ところが最後には、逆に自分の胸に引っかかりを増やしただけだった。

神野若奈は手元の服を見つめる。今さら引っ込めるのも変だし、かといって置いていくのも癪に障る。

神野若芽の、熱も冷たさもない視線が若奈の上をなぞっていく。彼女は喉の奥でくすくすと笑い、いつもは波ひとつ立たない瞳に、言葉にしづらい意地の悪さをそっと畳んだ。

ただでさえ気まずいのに、その嘲りを含んだ...

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