第95章 少し身だしなみを整える

篠崎世梨は後頭部をぽりぽりとかいた。

「やっぱり苦手かなって思ったんだけどさ。先週末、セレクトショップ覗いてたときにこれ見つけて……一目で、若芽の雰囲気に合うって思ったんだよね!」

世梨が選んだのは、黒曜石で作られた髪留めだった。艶のない漆黒。形は、今にも羽ばたきそうな蝶。

神野若芽のイメージにぴたりと重なって、気づけば買っていた。どうしても、若芽に渡したかったのだ。

「ね、試してみない?」

近寄りがたい、いかにも「触るな」と言わんばかりの若芽の顔を前にして、世梨自身も、よくこんな大胆なことが言えたと思う。けれど――どうしても見たかった。若芽がそれをつけたところを。

若芽は眉をき...

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