第4章
西園寺古里視点
あの夕食の後、黒木直樹はしばらく姿を消すだろうと思っていたが、その考えは甘かった。
それから数ヶ月、彼はほとんど我が家の常連のようになった。理由はいつも何かしらあった――早川真井のために花を持ってきたり、映画に連れて行ったり、あるいは単に「近くを通りかかっただけ」だと言ったり。そのたびに、彼は数分間、私と二人きりになる機会を見つけた。
ある週末の夜、私がキッチンで夕食の準備をしていると、背後から聞き覚えのある足音が聞こえた。包丁の柄を握りしめた私の手は空中で凍りつき、怖くて振り返ることができなかった。
「手伝おうか?」
彼の声が、すぐ真後ろからした。
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3. 第3章
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