第6章

黒木直樹視点

午前三時、街全体が闇に沈み、俺のオフィスだけが煌々と明かりを灯していた。

革張りのエグゼクティブチェアに腰掛けた俺の前には、分厚いファイルの束が広がっている――すべて、古里に関するものだ。この二年、俺は彼女が写ったあらゆる写真、あらゆる記録、そして彼女が働いていたバイト先の勤務スケジュールまで、すべてを収集した。

俺の指が、私立探偵に昨日撮らせたばかりの最新の写真をそっとなぞる。写真の中の古里は、安川大学の図書館から出てきたところだった。沈みゆく夕陽が、彼女の横顔に柔らかな光を落としている。十八歳の頃よりもさらに美しく、そこには新たな成熟が加わっていた。その自立し...

ログインして続きを読む