第1章
この誕生日パーティーの準備に、丸一週間も費やした。
自分の誕生日を祝うことに執着していたわけじゃない。日本で二十歳になるというのは、特別な意味を持つからだ。合法的に飲酒が許され、名実ともに大人になる。そして何より、私が私たちの関係をどれだけ真剣に考えているか、翔真に分かってほしかった。
BGMには、翔真が一番好きだと言っていた『津軽海峡冬景色』をわざわざ選んだ。テーブルには町で一番おいしいケーキ屋さんのチョコレートケーキと、私が自分で作ったカクテルが並んでいる。
午後八時。クラスメイトたちがぽつりぽつりと集まり始めた。最初にドアを勢いよく開けて入ってきたのはルームメイトの愛美で、部屋の飾り付けを大げさに褒めちぎってくれた。それから文学部の学生が数人、翔真のサークルの男の子たちもやって来た。
みんな気さくで優しかったけれど、私の意識はずっと戸口に釘付けになっていた。一番大切な人が現れるのを、ただひたすらに待っていた。
八時半。まだ翔真は来ない。
「あいつ、一体どこにいるのよ?」愛美が私の耳元で囁いた。「八時って言ってなかった?」
私は無理に笑顔を作った。「たぶん生徒会の用事よ。彼、忙しいの知ってるでしょ」
けれど、不安で気が狂いそうだった。スマホを三回も確認したけれど、未読メッセージはない。翔真はいつも時間に正確で、特に私のこととなればなおさらだ。緊急会議、大学でのトラブル、交通渋滞――ありとあらゆる言い訳を頭の中で巡らせる。考えたくない可能性よりは、どんな理由だってマシだった。
九時。ついにドアが開いた。
「来てくれたんだ!」私は入り口に駆け寄った。「もしかして、何か……」
「ごめん、生徒会の緊急会議で」。翔真は少し息を切らしながら、慌ててジャケットを脱いだ。髪は乱れ、服装もいつもみたいに完璧じゃなかった。「へえ、すごいな」
その素っ気ない、丁寧な褒め言葉。まるで他人の作品にでも感心しているかのよう。恋人が自分の誕生パーティーにかけるべき熱意とは程遠い。
「大丈夫?」腕を組もうとしたけれど、彼は私の肩を軽くポンと叩くだけで、人混みの方へ向かってしまった。
『は? 何なのよ、これ』と私は思った。『私の誕生日で、彼は私の彼氏なのに――なんでこんな、義務を果たしに来ただけみたいな感じなの?』
愛美がドリンクを持って隣にやってきた。「なんであんなに冷たいの?」彼女は囁いた。「全然、心ここにあらずって感じだけど」
私はかろうじて力なく微笑んだ。「たぶん疲れてるのよ。生徒会長って大変だから」
でも、自分を騙すことはできなかった。翔真の態度はあまりにもおかしい。おめでとうの一言も、ハグも、親密な素振りも何一つない。
彼はもうサークルの仲間たちとの会話に夢中で、私のことなど完全に無視していた。
パーティーは続いたが、雰囲気は一変していた。他の人たちもその緊張感に気づいたようで、会話は静かになり、翔真と私の間をちらちらと窺う視線が増えた。私は幸せな誕生日の主役を演じ続けたが、胸のざわめきは大きくなる一方だった。
「ちょっとベランダで飲み物取ってくるね」私は愛美にそう告げた。この状況を整理する時間が必要だった。
ベランダへ続くガラスの引き戸は半分開いていて、月明かりが床に筋を描いていた。室内の音楽や笑い声が遠くに聞こえる。私は落ち着こうと、ひんやりとした秋の空気を深く吸い込んだ。
その時、見てしまった。
ベランダの隅で、翔真と一人の女の子が固く抱き合い、キスをしていた。月明かりの下、彼女のトレードマークである金色のカールヘアと、真っ赤なリップがはっきりと見えた。星野聖奈。翔真の幼馴染で、家同士の付き合いがある、あのお金持ちの令嬢。
二人はあまりにも親密に、あまりにも自然に抱き合っていた。まるで何千回も練習してきたダンスのように。
翔真の手が彼女の腰をなぞり、彼女の指は彼の髪に絡みついている。何より私の心を打ち砕いたのは、翔真の口元に今もなおはっきりと残っている、聖奈のトレードマークである深い赤色のリップの跡だった。
どうやって声を出したのか、自分でも分からない。
「あなたたち……」
二人は飛びのくように離れた。翔真は必死に手の甲で口元を拭ったが、その赤い染みはまだはっきりと残っている。聖奈は髪を直し、顔には罪悪感など微塵も浮かんでいない――むしろ、勝ち誇ったように満足げな表情をしていた。
「騒ぎ立てないでくれよ」翔真は心底苛立った目で私を見た。「ただのゲームじゃないか。そんなに場を白けさせなきゃ気が済まないのか?」
ゲーム? 自分の耳を疑った。
「つまんない」。聖奈は呆れたように目を丸くした。「来なきゃよかった。たった一度のキスで大騒ぎするなんて。子供の頃、私たちが同じベッドで寝てたって知ったら、卒倒でもするんじゃない?」
彼女はわざとらしく無邪気に言ったが、その一言一言がナイフのように私の胸に突き刺さった。同じベッド? 二人の関係は、一体どこまで進んでいたっていうの?
「聖奈!」翔真は咎めるように言ったが、その声に本気の怒りはこもっていなかった。
世界がぐるぐると回るのを感じた。これはゲームなんかじゃない。裏切りだ。私が心を込めて飾り付けた、私の誕生パーティーで、私の彼氏が幼馴染と私の目の前でいちゃついている。
『落ち着け、小鳥』と私は自分に言い聞かせた。『ここで取り乱しちゃだめ。もう大人なんだから。尊厳を持って対処するのよ』
深呼吸をして、私は部屋の中に戻った。しかし、全員が会話をやめ、二十対もの目が私に注がれていた。明らかに、彼らはさっきのやり取りを全部聞いていたのだ。音楽も止まり、部屋は息が詰まるような沈黙に包まれた。
「ただのゲームだっていうなら」私は声を震わせないように努めた。「私も参加していいってこと?」
翔真は私の後について部屋に入り、何気なく頷いた。「ああ、どうぞ。どうせここにいるのは全員、俺の仲間なんだから」
彼は天気の話でもするかのように、あっさりとそう言った。まるで私の気持ちなどどうでもいいと、まるで私たちの一年間の関係が使い捨てのアクセサリーでしかないかのように。
「小鳥、翔真を怒らないでやってくれよ」。サークルの男の子の一人が場を収めようとした。「ただのゲームなんだ。俺たち、みんな友達だろ」
友達。その言葉が、やけに耳障りに響いた。私は同情的でありながらもどこか他人行儀な顔ぶれを見回した。
彼らは私を可哀想だと思ってはいるが、本気で私の味方をする気はない。このエリートたちの小さな輪の中で、私はいつも部外者だった――生徒会長の飾りであるには相応しくない、奨学金で大学に通う女。
『まただ。あの疎外感、仲間外れにされる感覚が、私を覆っていく』。自分の誕生パーティーでさえ、私は部外者なのだ。
気まずさが最高潮に達したその時、翔真はさらに私を苛立たせる決定を下した。
「ゲームでもしないか?」彼はパンと手を叩き、場の主導権を取り戻そうとした。「真実ゲームだ――俺たちがみんな友達だってことを証明しようぜ」
友達。またその言葉。彼はこのまま何事もなかったかのように、先に進もうとしている。
他の皆はほっとした様子で、その提案に喜んで飛びついた。すぐに私たちは輪になって座り、中央にはトランプの束が置かれた。ルールは簡単。特別なカードを引いた者が、それに対応するお題をこなさなければならない。
最初は聖奈だった。彼女はカードを一枚手に取り、にやりと笑みを浮かべた。
「キスカードだわ」。彼女はそう宣言すると、ためらうことなくまっすぐに翔真を見た。「私は翔真とキスすることを選ぶ」
部屋中に歓声と口笛が響き渡ったが、私にはすべての音がくぐもって聞こえた。誰もがさっきの再現を期待し、私が再び辱められることを期待している。
その時だった。隅の方で静かに座っていた一人の人物が、ゆっくりと立ち上がった。
部屋中が、しんと静まり返った。
悠真だった。翔真の双子の弟。
二人は瓜二つだったが、悠真はいつも物静かに背景に溶け込み、めったに注目を浴びることはなかった。ほとんどの場合、人々は彼がそこにいることさえ忘れていた。しかし今、そこにいる全員が彼に視線を注いでいた。
悠真は無言でテーブルに歩み寄ると、ただ手を伸ばし、聖奈の手からキスカードを取り上げた。その動きは穏やかでありながらも断固としており、まるで何らかの権利を主張しているかのようだった。
聖奈は驚きに目を見開いた。「あなた……」
「ゲームのルールに、カードの譲渡ができないとは書いてないだろ?」悠真の声は落ち着いていたが、否定しがたい威厳を帯びていた。
彼の視線は他の誰をも通り越し、まっすぐに私を捉えた。その瞳――翔真と全く同じでありながら、全く違う――には、私が今まで見たこともないような深さ、誠実さ、そして優しさが宿っていた。
そして彼は、部屋中を沈黙させた問いを投げかけた。
「受ける勇気は、あるか?」








