第168章 その書、本当は橘結衣が書いたんだろう?

大島史也の視線が山内航大に突き刺さる。怒りを押し殺した声で切り出した。

「山内航大。君の『遠島御百首』と、橘結衣の『遠島御百首』……どう見ても、同じ人間が書いたように見えるのは、なぜだ?」

山内航大はその視線を受け止めたまま、言葉を失った。

書道の世界では、実力がないことより、道を外れるほうが恥だ。

大島史也は山内が答えられないのを見ると、客席へ向き直る。

「本来なら本日は作品の審査を行う場です。ところが、会場でこんな事態が起きました。出場者から『自分の作品がすり替えられた』という申し出があったのです」

「これは決して小さな問題ではありません。大会の公平性に関わる。ひいては、我々...

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