第204章 横田大輝を晴美に返すよう勧める

横田夫人の車が去っていくのと入れ替わるように、橘晴美と橘界人が橘家へ戻ってきた。

二人は別の車から降りる。晴美は遠ざかる車を見送りながら、なぜだか妙に見覚えがある気がして眉をひそめた。

「安藤さん、いま来てたのは誰?」

「横田夫人でございます」

「横田夫人?」晴美は首をかしげる。「何しに?」

「横田様と結衣様のご縁談を――お決めになりに来られたようで」

その言葉を聞いた瞬間、晴美の顔から血の気が引いた。目尻を赤くして、縋るように界人を見る。

「界人兄さん……」

界人も、にわかには信じられなかった。

横田大輝は晴美の婚約者じゃなかったのか。なのに、いつの間にかその話が橘結衣の...

ログインして続きを読む