第64章

その言葉に、室内の空気がぴたりと凍りついた。オフィスにいた数人の顔色が一変する。

「初夏、それはどういう意味だ?」

真っ先に問題の核心に気づいた手塚直哉が、訝しげに尋ねる。

「この報告書は、お前が私のメールに送ってきたものではないのか?」

「もちろん、違います」

これまで道橋慶治はテストを終えるたび、手塚直哉と手塚和也のメールアドレスにそれぞれ報告書を送信していた。だが今回は、桐生初夏がそれを止めたのだ。

何しろ最終テストである。報告書の内容はこれまで以上に詳細なものになる。

一度でもネットワーク上に流せば、データが盗まれるリスクが伴うからだ。

「笑わせないで。送ってないって...

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