第10章

千夏視点

朝の日差しがアパートの窓から差し込む中、私は机に向かい、ノートパソコンを開いてメールをチェックしていた。

携帯が震え、父からの不在着信をまた知らせる。昨日の夜から、ひっきりなしに電話をかけてきているのだ。何についてかなんて、聞くまでもない。由美のことだ。

その時、一通のメールが目に留まった。

【K市大学へようこそ――全額奨学金給付のお知らせ】

心臓が激しく高鳴った。震える手でメールをクリックする。

【千夏様

この度は、誠におめでとうございます。あなたがK市大学に、全額奨学金付きで合格されたことを、心よりお喜び申し上げます。つきましては、本学の名誉ある優等生プ...

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