第百七章 距離

ジュエリーショップを出た後、明里は温音の腕を引いて、長い距離を歩いた。二人とも一言も口を利かなかった。

銀座の夕暮れは人波が絶えず、ショーウィンドウの光が連なって通りを染めていた。温音は群衆の中を歩きながら、顔に何の表情も浮かべていなかった。あの刺すような痛みはまだ胸のどこかに残っていた。細い針のように、深くはないが、正確に刺さっていた。彼女はそこに触れようとしなかった。

銀座四丁目の交差点まで来たとき、明里がようやく口を開いた。声を低く抑えて、飒真への悪口をひとつ吐き出した。

温音は応じなかった。

「行こう」と彼女は言った。「ご飯食べよう」

何事もなかったかのような、静かな声だった...

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