第8章

多羅が逮捕されてからここ数日、剣はほとんど家に帰ってこなかった。

今夜、ようやくアパートで彼を捕まえることができた。疲れ果てた様子でドアを押し開けた彼の体からは、まだ警察署のコーヒーの匂いが漂ってくる。その目には、事件がようやく一段落したことへの安堵の色が浮かんでいた。

「やっと終わったの?」私は彼を抱きしめに行った。

「まあな」剣は私の額に優しくキスを落とした。「資料はすべて検察庁に提出済みだ。多羅は今度こそ逃げられない」

私は頷いたが、心はどこか落ち着かなかった。今日は私の二十歳の誕生日。でも、剣の疲れきった様子を見る限り、彼は明らかにそのことを知らない。

「なんだか、今...

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