第93章 結婚式

 瀬川凪紗視点

ついに、時間になった。

宮本良介と、父と母に付き添われながら、私はゆっくりと階下へ向かって歩き出す。

ほんのわずかな距離なのに、手のひらは汗でぐっしょりだった。段取りはすべて整っている――そう頭ではわかっているのに、不安だけが勝手に膨らんでいく。

私の様子に気づいた良介が、横から覗き込むように言った。

「凪紗、どうした? 緊張してるのか?」

そう言いながら、彼の手が私の手に重なる。

「大丈夫だ。全部、俺がいる」

私は無理に口角を上げてみせる。身体はぎこちないままだ。

「平気よ」

良介は甲斐甲斐しく、私のドレスの裾を持ち上げて歩きやすいように整えた。

「こ...

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