第103章

『来る前に、あんたのこういう写真はもうバックアップしてあるの。もし私が30分以内に戻らなかったら、写真は時間指定で早村千佐子のところに届く。――ああ、受け取るのはあの人だけじゃない。各メディアにも一斉に送られるわ』

 安野香苗の目には、かすかな嘲りが浮かんでいた。

 これまで自分が受けてきた傷のほとんどは、安野家の人間によって刻まれたものだ。

 だから、安野弘人を完全に信じるつもりなど最初からなかった。

 その言葉が落ちた瞬間、安野弘人は目を見開いた。

 勢いよく立ち上がる。

『何だと?』

 安野香苗はまっすぐ視線を返した。

『言ってる意味、分からなかった? 私がここに入って...

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