第16章

安野香苗の根気強い宥めに、翔太はようやく布団の中から小さな頭をのぞかせた。

首を傾げ、安野香苗の顔を見た途端、表情が少しだけ複雑になる。

「……なにしに来たの?」

安野香苗は手を伸ばし、蒸れてしっとりした彼の髪をそっと撫でた。声はやわらかい。

「大崎さんから聞いたの。翔太、雷が怖いんだって。だから様子を見に来たのよ」

翔太は気恥ずかしくなったのか、唇を尖らせて強がる。

「だ、誰が雷なんか怖いんだよ! ぼく、怖くないし!」

安野香苗は、愛おしそうに微笑んで見つめるだけで、わざわざ暴かなかった。

その視線が落ち着かなくて、翔太は歯を食いしばり、勢いよく布団から抜け出した。

「ほ...

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