第187章

藤原京也が電話をかける前に、安野香苗のスマホが先に鳴った。胸の奥に、理由のない嫌な予感が沈んでいく。

通話ボタンを押した瞬間、心臓が重くなった。

受話口の向こうで、大崎先生が泣き声混じりに、言葉を噛みながら叫ぶ。

『すみません……すみません! 翔太くんが、いなくなりました!』

藤原京也が香苗の手からスマホをひったくるように取り上げ、スピーカーに切り替えた。

「落ち着いて話して。何があった」

『きょうの放課後です。男の人が来て……あなたの秘書だと言って、あなたの直筆のサイン入りの書面と、会社の印鑑が押された書類を持っていて……急用ができたから迎えに来た、と。書類も全部そろっていたの...

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