第21章

藤原京也からは、まだ返事がない。にもかかわらず、向こうは待ちきれないとばかりに安野香苗を急かしてきた。

『証拠が欲しいなら、この住所に来い』

直後、位置情報が送られてくる。

安野香苗は眉をひそめ、示された場所を見た。バーの裏手、路地の奥。

まだ夕方にもなっていない。店も開いていない時間帯だ。つまり人通りが少ない。そこで何かあっても、助けを呼ぶことすらできないかもしれない。

相手の言葉は真偽が判別しづらい。だが――この機会だけは逃したくなかった。

迷いと葛藤が胸の中で渦を巻く。指先だけがせわしなく画面を叩いた。

『根拠もないのに、どうして信じろって言うの?』

送信。

返事は来...

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