第23章

「迎えに来た」

安野香苗が口を開いた瞬間、それまで胸の奥で燃えていた怒りが、ふっと霧みたいに消えた。残ったのは、どうしようもないほどの優しさだけ。

「大口叩きやがって!」

そのとき、金田智哉がようやく我に返った。怒気を滾らせ、藤原京也を睨み据える。右手の棒をぎり、と握りしめ、脅すように言い放った。

「小僧、勝手に踏み込んできたのはてめぇだ。今日、無事に帰れると思うなよ!」

言い終えるや否や、さっき外で藤原京也に叩きのめされた男が援軍を連れて戻ってくる。黒い塊みたいな連中が扉の外に並び、全員が刃物や金属棒を手にしていた。

安野香苗の、やっと落ち着きかけた心が、また吊り上げられる。

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