第27章

安野香苗の不安そうな顔を見て、野原英子はどこか気まずそうに口を開いた。

「香苗、私の車ね、途中で壊れちゃって。タクシー拾おうとしたら、ちょうど藤原京也さんに会ったの」

香苗を迎えに行くつもりだ、と軽く話しただけだったのに、藤原京也は当然みたいに「乗れ」と言ってきた。

野原英子は艶っぽい目つきで、安野香苗と藤原京也を交互に見やる。――あんたたち、絶対なにかあるでしょ。そんな顔だ。

やっぱり、と英子は内心で確信する。学生のころからずっと、この二人はただならぬ空気があった。

あの江原司っていうクズが割り込んでさえこなければ――きっと、とっくに一緒になっていたはずだ。

江原司の顔を思い出...

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