第28章

車内で、野原英子はついに堪えきれず、ぷっと吹き出した。

「藤原京也、あんたマジで最高! 香苗、見た? 江原司っていうクソ男の顔! もうちょい煽ったら、その場で憤死してたんじゃない? スカッとした~! ほんっと痛快!」

今にも拍手を送らんばかりだ。

安野香苗は愛おしげに英子を見つめ、紅い唇の端をきゅっと上げた。それから視線を藤原京也へ移し、瞳の奥に感謝を滲ませる。

「藤原京也、英子……今日は本当にありがとう。二人がいなかったら、私はきっとまた入院させられてた。そうなったら……」

江原司に精神病院へ押し込められた五年が脳裏をよぎり、香苗は睫毛を落とす。声も、すっと沈んだ。

野原英子は...

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