第39章

翌日、安野香苗はピクニックの準備をこれでもかというほど大げさにやってみせた。安野月子に『出かける』と気づかれないはずがない。

案の定、月子はぴたりと手を止める。眉をひそめ、楽しげに動き回る香苗をじろりと見てから、江原司に甘えた声をぶつけた。

「ひいきだよ。安野香苗さんだけ連れて遊びに行って、私を家に置いていくなんて。私も一緒に行く!」

「だめだ」

香苗が口を開くより先に、司がきっぱり遮った。

その反応が、月子の疑念に火をつける。

「なんでだめなの?」

司の頭が高速で回転し、すぐにそれらしい言い訳をひねり出す。

「足、怪我したばかりだろ。いま一番必要なのは安静だ。無理して動くな...

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