第40章

安野香苗は、自分の言葉だけで安野月子の心をへし折るには十分だと確信していた。

月子が癇癪を起こしそうになりながらも、どうにもできず歯を食いしばって耐える――そんな姿を想像するだけで、体の芯まで気分が良くなる。

まだ序の口だ。白原リリが江原司の心の中で、月子の居場所を完全に奪い去ったら――彼女の末路は、もっと惨たらしいものになる。

夜。安野香苗が翔太を寝かしつけ、部屋から出た途端、廊下で苛立った安野月子に行く手を塞がれた。

「わざとでしょ!」

帰ってから何度も考えて、ようやく腑に落ちた。安野香苗が白原リリの本性に気づかなかったわけじゃない。最初から――あの二人はグルだったのだ。

白...

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