第47章

「会社に近いほうがいいです。通勤が楽なら……ほかは特にこだわりません」

いまの彼女には、そんなに余裕はない。条件のいい部屋を借りるなんて無理だった。

「近くに、俺名義で空いてるマンションがある。交通の便もいいし、とりあえずそこに住め」

安野香苗はぎょっとして、慌てて首を横に振った。

「それは……さすがに、無理です」

「無理じゃない。ほかで探して、お前が契約したら、江原司は結局たどり着く。あのマンションは俺の名義だ。あいつには追えない。……罪悪感があるなら、掃除でもしてくれ。家賃はいらない」

そこまで言われると、安野香苗の心がぐらりと揺れた。

たしかに、江原司に見つかりたくない。...

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