第79章

安野香苗は翔太を連れて新しいマンションに落ち着き、あっという間に日々が過ぎていった。

やがて開廷の日が近づき、彼女は白原ナナと会う約束を取りつけた。

「白原さん」

二人が選んだのは、個室のある落ち着いたレストランだった。白原ナナが入ってくるなり、安野香苗は軽く会釈して声をかける。

白原ナナは向かいに腰を下ろし、安野香苗はメニューを彼女の前へすっと差し出した。

「飲み物も食事も、好きに頼んで。遠慮しないで」

「ありがとうございます。お気遣いなく」

白原ナナは穏やかに笑い、軽く世間話を交わしたあと、安野香苗は自分が集めた江原司の浮気の証拠一式を取り出して渡した。

「この間に集めた...

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