第81章

「翔太。お父さんと行こう。前に、お父さんのところで何日か泊まりたいって言ってただろ?」

 江原司は野原英子や藤原京也たちを意図的に視界から外し、翔太の前まで来ると、低い声でそう言った。

 翔太は江原司をちらりと見て、それから安野香苗へ目を向ける。

 安野香苗は気力をかき集めるように唇を持ち上げ、無理に笑った。

「行っておいで。お父さんと……何日か、一緒に暮らしておいで」

 江原司が翔太の手を引き、去っていく。

 その背中が見えなくなったところで、野原英子が堪えきれないように口を開いた。

「香苗……本当に、このまま翔太を連れて行かせるの?」

「江原司は、あの子の父親だもの。父親...

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