第92章

安野香苗の瞳に浮かんだ皮肉と失望は、刃物みたいに江原司の胸へ突き刺さった。

それが、たまらなく彼を惨めにさせる。

『だから、俺が酔って忘れたって言ってるだろ。だからって藤原京也を親子行事に呼ぶ理由にはならねぇ!』

江原司は首を突き出して言い返した。その瞬間、安野香苗は思わず笑いそうになる。

自分が悪いのに、絶対に認めない。どこまで往生際が悪いのか。

安野香苗は白けたように目を吊り上げ、深いため息をついた。

『親子行事は両親参加が条件なの。あなたに3回電話したけど、1回でも出た? お父さんがいなかったら翔太がどれだけ寂しい思いをするか分からないの? 周りからどう見られるかも考えて。...

ログインして続きを読む