第102章

这一次,周防浅奈は冗談めかした様子を一切見せず、真剣な眼差しで近藤永一に鍼を打っていた。

暇さえあれば祖母の残した手記を読み漁り、研究を重ねてきたのだ。近い将来、何か大きな災厄が降りかかる気がしてならない。その前に、せめて彼の命に関わる危険だけは取り除き、完治させておきたかった。

当初、近藤永一は彼女が治療を先延ばしにするための口実だと疑い、不満げだった。

だが、その真剣な横顔を見て、次第に警戒を解き、リラックスした様子を見せ始めた。

周防浅奈の鍼灸術は祖母直伝の本物だ。かつては下半身不随になった子犬に鍼を打ち、再び歩けるようにしたこともある。

その才能を見込んだ祖母が、直々に手ほ...

ログインして続きを読む