第103章

加賀冬馬は二人の女が食事を取り終えるのを待たず、こっそりとその場を後にした。

予感があったのだ。これ以上長居すれば、周防浅奈のことだ、今すぐにでも木島雪子と店について話し合えと言い出しかねない。木島雪子と二人きりになるのだけは御免だった。

周防浅奈は軽く食事を手に取って戻ろうとしたが、ちょうど慌ただしく外へ向かう吉野哲と鉢合わせた。

「先輩、どこへ行くんですか?」

「周防会長?」

吉野哲は足を止め、周囲を窺うようにキョロキョロして口ごもった。

周防浅奈は呆れたように目を白黒させる。

「近藤様なら上で眠ってますよ。どうかしました?」

「これを見てください」

彼は慌てて周防浅奈...

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