第108章

懐に抱いた身体が震えているのを感じ、近藤永一は周防浅奈をきつく抱きしめた。

「信じているよ。俺たちはこの先、一生幸せになれる。何事もないさ」

周防浅奈は目を閉じ、深く呼吸をして、胸の奥から湧き上がる恐怖を必死に押し殺した。

一度人生をやり直したとしても、海に落ちた時の感覚だけは忘れられない。

骨まで凍るような冷たい海水。全身不随となった彼女には、水中であがく力さえ残されていなかった。

残された片目には、近藤永一のぼやけた姿しか映らなかった。

もし前世で、近藤永一が彼女を救うために命を落としていたとしたら……彼女は近藤時弥と木島若凪を、そして何より自分自身を、永遠に許すことなどでき...

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