第109章

周囲の人間は当然そんな裏事情など知るよしもなく、驚愕の表情で二人を見比べた。

「奈々、話を逸らさないで!」

木島若凪は心臓が早鐘を打つのを感じ、慌てて彼女の言葉を遮ろうとした。

だが、周防浅奈は木島若凪に弁解の隙など与えなかった。

「若凪が言ったんじゃない。『良い上司になりたいなら、近藤永一の別荘を開放して、部下たちを連れて行くべきだ』って」

周防浅奈の声が震える。

「『みんな海鮮料理が食べたいと言ってる』って言うから、私は自腹で数百万も出して、シェフに輸入の海鮮を買いに行かせたのよ」

「『社員全員にオーシャンビューの部屋を用意しなきゃダメ』だなんて言うから、私は恥を忍んで近藤...

ログインして続きを読む