第112章

周防浅奈は迷うことなく辞令を取り出した。会長である彼女にとって、一部門の部長を任命することなど造作もないことだ。

他の者たちもそれ以上は口を挟まなかった。「近藤」という姓を持つ以上、近藤有季が近藤永一の息がかかった人間であることは明白だからだ。

木島若凪はよろめき、信じられないという目で周防浅奈を見つめた。

「奈々、私をクビにする気? どうしてそんな酷いことができるの? 私たちは親友でしょ」

「会社は両親が私に残してくれたものよ。誰であろうと、会社の利益を損なうことは許されないの」

周防浅奈は傷ついたような表情を浮かべ、すぐに小さくため息をついた。

「あなたにも自分の会社があるじ...

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