第117章

周防浅奈は疲労の色を滲ませながら、周防グループに戻ってきた。

オフィスに着くや否や、木島若凪がドアを押し開けて入ってくる。

「奈々、大好きなクリームプリン買ってきたよ。食べてみて」

周防浅奈はその安っぽいスイーツを一瞥すると、露骨に白目をむいた。

「こんな安物、二度と買ってこないで。肌に悪いのよ」

木島若凪の顔から笑顔が消え、途端に委縮したような表情になる。

「うちの会社、最近景気が悪くて……。私も部署を異動させられて給料が下がっちゃったから、これぐらいしか買えなくて」

その見え透いた不幸自慢を聞いても、周防浅奈の心は凪いだ湖のように波立たなかった。

以前の彼女なら、親友の窮...

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