第192章

周防浅奈は信じられないといった様子で近藤永一を見つめた。

「どういうこと?」

「遠藤正志、出すぞ」

近藤永一は多くを語らなかった。

周防浅奈はさらに問い詰めようとしたが、彼の顔色が蒼白なことに気づき、言葉を飲み込んだ。代わりに、恐る恐る手を伸ばして彼の脈を取る。

また頭痛が始まっている。

周防浅奈は慌ててポケットから銀針を取り出した。

「バッグに入れなくてよかった」

先ほど人命救助で焦っていたため、バッグは洗面所に置き忘れてきてしまったのだ。

近藤永一はそのまま彼女の膝に倒れ込み、固く目を閉じた。

一刻も争えない。周防浅奈は手早く施針を開始した。一時間後、車が別荘に戻る頃...

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