第47章

海辺の別荘という言葉を聞いた瞬間、近藤永一の顔色が曇った。

あの日の記憶が蘇る。彼は砂浜で、朝から晩まで、そして日付が変わり深夜の花火が打ち上がるまで待ち続けた。だが、周防浅奈は現れなかった。

あの日、彼女は確かに言ったのだ。「別荘に行って、一緒に誕生日を過ごしたい」と。

互いに十八歳を過ぎてからというもの、二人きりで誕生日を祝うことなどほとんどなくなっていたからこそ、彼は期待したのだ。

長年の想いがようやく周防浅奈に届いたのだと信じていた。しかし、待っていたのは彼女が入院したという電話だった。

近藤時弥と路上の屋台で食事をし、すぐに激しい嘔吐と下痢に見舞われたのだという。

近藤...

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