第63章

近藤永一は彼女の言葉に心底驚いたようで、目を見開いた。

「金が欲しい? カードは渡してあるだろう」

「無記名の小切手で、二百万欲しいの」

周防浅奈は極まりが悪そうにうつむいた。

「あの動画を手に入れるために、ちょっと人に頼んで……まだお金を払ってないの」

彼女は本当に恥ずかしかった。

近藤永一は彼女に対して常に気前が良く、金銭面で制限をかけたこともない。彼女自身、金に困っているわけでもないのだ。

ただ、以前は両親が健在で、お小遣いをもらえばそれで済んでいた。

だが今は両親が他界し、彼女はまだ会社を継いでいない。

そのことを考えると、また気分が沈んでくる。

近藤永一はデスクへ歩み寄る...

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