第71章

周防浅奈は目の前がチカチカと明滅するのを感じたが、今は悲しみに暮れている場合ではなかった。

彼女は渾身の力を振り絞って近藤永一を突き飛ばすと、肩で荒い息をついた。

ドンドン!

「周防さん、何かあったの?」

ドアの外から近藤有季が叩く音と、緊張の混じった声が聞こえてくる。

周防浅奈はふらつく足取りでドアへと走り、鍵を開けた。

「有季さん!」

「中で話して!」

一糸まとわぬ姿の周防浅奈を見て、近藤有季は慌てて彼女を部屋の中へ押し戻した。

向かいの部屋では、天宮日那が物音を聞きつけてドアを開けたところだったが、目の前のドアがすぐに閉ざされるのを目撃しただけだった。

天宮日那はス...

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