第74章

近藤時弥は、周防浅奈を五つ星レストランの個室に呼び出した。それも、近藤永一の名義で予約して。

浅奈は何度か近藤有季に外で待つよう頼んだが、有季は頑として首を縦に振らなかった。

有季は知っているのだ。この周防浅奈という女性が、過去に何度も逃亡を企てたことを。

婚約破棄のために留学と称して出国しようとし、しかも近藤時弥と駆け落ち同然だったことまで。

昨夜、浅奈が薬を盛られた件で、有季は自分の首が危ないと感じていた。そんな状況で、浅奈がまた近藤時弥と二人きりで会うなど、断じて許されることではない。

結局、浅奈が折れるしかなかった。

有季を連れて個室に入ると、テーブルには豪華な料理が所狭しと並ん...

ログインして続きを読む