第12章 濡れた犬のように

しかし、長時間の雨と心身の消耗は、ついに中村奈々の限界を超えさせた。

視界がぼやけ始め、体からも徐々に力が抜け、ぐにゃりとした感触に変わっていく。

ついに、目の前が真っ暗になり、彼女は地面にばたりと倒れた。派手な水しぶきが上がる。

周囲の人々は冷ややかに一瞥をくれただけで、また自分の道を行く。

誰も手を差し伸べようとはせず、彼女の生死に関心を寄せる者もいなかった。

周りの世界は相変わらず喧騒に満ちているというのに、彼女はただ雨の中、誰にもかまわれず静かに横たわっていた。

雨水は、まるで命を失った人形のように、彼女の体に無情に降り注ぎ続ける。

その時、山本大賀が外...

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