第16章 ハルカス・ギャラリー

中村奈々が思うに、父の会社は倒産してしまったけれど、昔からの知り合いはまだいる。自分がもう少し面の皮を厚くして、もう少し頑張れば、きっと売れるはずだ。

少なくとも、母の医療費と弟の学費くらいは払えるだろう。

あの非情な母と自己中心的な弟のことを考えると、もう彼らの面倒を見るのはやめようかと思ったこともある。しかし、どうしても非情にはなりきれなかった。

結局、自分が優柔不断すぎるのだ……。

二宮梅子は、彼女がどこか自信なさげにしている様子を見て、胸が締め付けられるようだった。

こんなにも素直で物分かりの良い子が、これほど多くの出来事に遭い、こんなにも重い荷物を背負わされている。本当に...

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