第168章

中村奈々は部屋に戻るやいなや神経を張り詰めさせ、ドアの鍵をかけた上で、さらにチェーンロックまで掛けた。

スマホの表示時刻を何度も確認する。黒田謙志が出て行ってから、もう半日以上が過ぎていた。連絡は、一切ない。

今の彼に対しては嫌悪感しか抱いていない。それでも、彼にまで何かあってほしいとは思わなかった……。

そう考えると、中村奈々の焦燥は募るばかりだった。

彼女はスマホを強く握りしめ、唇を噛んで逡巡した末、意を決して黒田謙志の番号を呼び出した。

だが、コール音が長く続くだけで、誰も出ない。

中村奈々の心臓が跳ね上がった。底知れぬ不安と恐怖が胸の奥から湧き上がってくる。堪えきれずにも...

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