第236章

平社員である彼女に与えられた席は、観客席の最後列だった。

適当な空席を見つけて腰を下ろすと、彼女は椅子の背に身を預けて瞳を閉じた。早くこのイベントが終わってくれればいい。そうすれば、部屋に戻って泥のように眠れるのに。

平川社長が登壇し、イベントの幕が切って落とされた。

中村奈々の頭は鉛のように重く、意識が朦朧としていた。ステージ上の司会者の声も、どこか遠い世界から響いてくるようで、膜が張ったように聞き取りづらい。

やがて佐藤蘭子が登壇し、会場に割れんばかりの拍手が巻き起こった。その音に驚いて奈々はハッと意識を取り戻し、重い瞼を無理やりこじ開けてステージの中央へと視線を向けた。

佐藤...

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