第238章

佐藤蘭子は目を細めて様子を窺うと、その瞳に抜け目のない光を宿して言った。

「この大都会ってのは、本当に食えない連中ばっかりね」

中村奈々が何も答えないでいると、佐藤蘭子は彼女のほうを振り返った。

「中村さん、ここには知り合いが多いみたいじゃない。彼らは友達? さっきの彼なんて、爽やかでセンスも良くて、ただ者じゃなさそうだったけど」

中村奈々は視線を上げ、淡々と応じる。

「以前、画廊からここに派遣されたことがあって。彼はその時の展示館の同僚です」

佐藤蘭子は細い目をさらに細めた。

「ふーん、そういうこと。で、彼は今何してるの? 知ってるんでしょ?」

中村奈々は首を振った。

「...

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