第245章

中村奈々はその腕をそっと引き抜いた。

「前みたいにしててよ。今のあんた、なんか背筋が寒くなるわ」

「ひどぉい」

佐藤蘭子は媚びるような声を上げ、にこりと目を細めた。

「前は目障りな女だと思ってたけど、実際に付き合ってみると、意外と悪くないじゃない」

「……どうも」

中村奈々にとって、それは決して褒め言葉には聞こえなかった。

結局のところ、佐藤蘭子が小川翔太を射止めるために、自分が少なからず骨を折ったからに過ぎない。

佐藤蘭子は冗談めかした表情を収め、言葉を選びながら切り出した。

「実はね、ずっと考えてたことがあるの……」

その内容を聞いて、中村奈々は少なからず驚いた。

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